先の見えない膠着状態の続くダブルハンド・ロッドに比べ、始めから遠投等といった拘りも無いシングルハンド・ロッドでは快適でいい気分転換にもなる。
もし、この練習を始めていなければ、ダブルハンドの練習もすっかり行き詰って、この時期の恒例だった箆鮒釣りに勤しんでいるところだろう。
先の練習日、下流からの風によって本来の下流とは違って上流に向ってのキャストになると一旦ラインの方向を換えた後、直ぐにキャストしなければならず益々循環の速い効率のいい練習で、ふとダブルハンド・ロッドのキャストからランニングラインを回収している迄の間にシングルハンド・ロッドでは一体何回のキャストが可能だろうかとも思えてしまう。(笑)
これが功を奏した訳でもないだろうが、課題である左のダブルスペイも相変らず、よちよちと乳幼児が歩くかの如く弱々しく、おぼつかないキャストではあるものの、今回の練習で久し振りに一歩前進した感じがした。
それは、今迄少し良いキャストが出来ていても直ぐに乱れ始め、これを修正するまでに苦労したりもしたが、二度行っていたホールを一度にするだけで安定したキャストが持続すると気付いた所にある。
左のキャストでは過去何度も、ロッドを握った左手でキャスト動作が出来たとしても、ホールの操作を忘れている時が殆どであるが、次にホールする意識を持った途端に、これまで出来ていたキャスト動作そのものまでも狂ってしまう傾向があり、これはダブルスペイの場合では、特にスイープ時のホールとなると一層顕著に現れていたのだ。
そこで一先ずは、左のダブルスペイに限りスイープ時のホールは見送り、シュート時だけの “ シングルホール ” に集中すると効果があった。
実際、シングルホールのみでもタイミングさえ合えばロッドに結構な負荷を掛けられ、右のダブルスペイを良く観察してもスイープ時のホールは手首だけ少し引き付けている程度でもあるので、慣れるまでの暫くは、これだけでいいのではないかと珍しく柔軟な発想を持てた。
また、他の課題としてはバックハンドでのスペイキャストもある。
思えば遠い過去、この動作には無理があるという考えから左右でスペイキャストする事を選択し、これを可能にするのがダブルハンド・ロッドであろうという考えもあって、バックハンド自体殆どやった事が無く、右でも大したシュートは出来ないが、以前の様な “ アンカー切れ ” 、 “ アンカー抜け ” と呼ばれる現象から、パチン、パチン とライン通しが接触する事も近頃は左でも解消された。
バックハンドではフォアハンドからスイープする操作も難しく、通常リフトしてから手のひらを上側に向けてスイープするフォアハンドとは反対に、手の甲を上に向けてスイープしなければならず、ここで更に難しいのはシュートの動作ではないだろうか。
特に、こうした逆手で前方に押出すという不慣れにして、とても窮屈で、こんな動作は日常域においては殆ど使わない。よってこれに伴う筋肉も発達していない為、その非力な筋力を補おうと余計な箇所に力が加わり前に弾き返す事は出来ないのだが、この動作も毎晩練習していると、このキャストに必要とされる筋肉も強くなる。
こんな利き腕である右でも困難なキャスト、これを事もあろうか左でも行うのは、とんでもなく難しいと思われたが努力次第では何とか可能であると思われたのはとても有意深い。
しかし、こんな事が出来たところで直ぐに魚が釣れる訳でも無く、一体何故こんな事を始めたのか、ふと見失い掛けそうにもなるが、その根底にはフライフィッシングにおけるキャスティング自体の楽しさもあるからではないだろうか。
こうした釣りを始め、どんな事でも長く係わってしまうと兎角、結果主義ばかりが先行する。
マスメディアから、ドコそこ、誰それのラインシステムはコレコレこうで、使うフライはコレ!、こんな時はこうして沈めて、やれそれ誘いは、こうしてこうすれば釣れる!等といった内容と立派な魚を抱えて笑っている写真でも見せ付けられると、ついつい練習なんかは程々に、即釣りた~い!という意識が強くなるのは世の常なのだろうが、こうした練習は釣る為の第一歩であるのは基より、この釣り本来の面白さ、この釣りの原点を改めて感じさせられる。
そして何より、貧乏人にとっては近場でお金を掛けず、手っ取り早く楽しめる “ 安・近・短 ” な遊びでもある事こそが真意で、やはり “ 釣り ” である以上は魚を釣ってナンボの世界、よって幾ら何でも、ろくに釣りもせずに練習しかしないヤツも、やっぱり○○だ!。
でも、釣れる魚を沢山釣って楽しむのか、それとも地道に釣る事が難しい一尾を目指すのか ・ ・ ・ ・ 、どちらを選ぶのかは ・ ・ ・ 、自由だぁ~!!。(笑)