連休2日目となった五月五日、いつもの本流の上流を目指そうかとさんざん迷った挙句、連休帰りの渋滞に巻き込まれては堪らないと結局いつもの場所へ向かっていた。気温も昨日より4℃程高い17℃を示している。
午前9時頃到着、昨日の事を知ってか知らずか、既に釣りの種族が両岸の本流に沿って等間隔に立ち並んでいた。
一方、レジャーの種族は現在、昨日程ではないが予想最高気温は更に4℃上回る28℃というので、彼らはこれから増殖するのかも知れない。
いつも通り左岸に入ると、こちらにも餌釣り師一人、ルアー釣り師が5~6人居る。上の落ち込みにも2人居た。風も無く穏やかな天候だったが若干の薄い雲が立ち込めて少し蒸す感じだ。
身体を上流へ倒し流れと均衡を計る。
早速、準備してルアー釣り師の立ち込まない、核心部上の流速が早い部分から入流する。水温は13℃を示し、少し下流には時々、赤褐色の生物がモジる。
キャストを繰り返し、どの位の時間が経った時だろうか、リトリーブ中に16ftのロッドに控えめながら “ コッン ” といった感触が伝わって、次の瞬間には重たい生物が鈍く ウネッ、ウネッ と首を振っている、核心部では初めての生命反応だ。
野太い流れも手伝ってなかなかの引きをしていたのだが、直ぐに何の抵抗も無いただの物体となっていた。やはりこれはアノ赤褐色の憎めないヤツ、そうニゴイである。
何はともあれ核心部でやっと魚が掛かった事と、使っていた毛鉤が以前ここで紹介した55ミリの鮎ウォディントンであった事が少し嬉しくもあり、安堵していた。
上がって来たのはやはりコイツ、 でも憎めない。
やがて日が高くなって来ると赤褐色のモジりも消え失せ、いつもの通り何の反応も無いまま時間のみが過ぎていった。
お昼を過ぎ小休止しようと車へ戻ると案の定、レジャーの種族は増殖し皆それぞれの余暇を楽しいでいる。その渦中に一人だけ異様な出で立ちの自分が入っていくのだが、全く気にならない。何故なら毎週通う釣り人にとって彼らこそが異質なのだ。
2日連続釣りをする事は殆ど無いのと技術不足も相まって、右の利き腕が疲れていた。11mのスカンジナビアンSTヘッドがやけに重く感じ、左腕を上にするとどうしても思う様なキャストが出来ないでいた。そこで以前から気にしていた10mをこの機会に再度、検証して見る事にした。
早速、10mのスカンジナビアン・ヘッドを抜き上げてシュートする。すると、たった1mと言っていいのか実に軽い。右腕を上にした時少し戸惑った。どうやら投げ方が少し違ってくる、10mの場合は一旦前に落とす時に11mより更に前側へリリースしてやる必要がある。
また、やや飛距離が落ちる様な気がするが、左腕を上にするとこちらの方が軽快に捌く事が出来る。やはり16ftという長さと反発力の強いロッドでも、この投げ方と深く立ち込んだこの状況では10mという長さで間違ってはいなかったのだ。
こうして軽快さを増したキャストを楽しむかの様に延々とシュート&リトリーブを繰り返していると、河辺から大音量のラテン的なリズムが響き渡ってくる。振り返ると巨大なスピーカーをこちらに向けた若者が騒いでいた。
続 く。