7月となったこの時期、自然界では新たに生まれた生命が躍動を始める季節とも重なり、この中でカモ類としては唯一平野部でも繁殖する事から、皇居のお堀等では毎年にテレビで報道されるカルガモ親子の様子が伝えられ、先日も木陰が近い場所へ移動した午後の利根大堰下流では親ガモの心配をよそに恐れを知らない9羽の子ガモ達が何時の間にかこちらへ急接近を始めると、キャストも中断して暫くの間は身動き出来ない状態が続いた。(笑)

そして、午後4時頃には遥か彼方に発生していると思われる雷雨の影響からか、突如として東寄りの強い向かい風が吹き始めると、上流側に陣取った2人のルアー釣りは雲の子を散らす様に退散して行ったが、この風に晒されたお陰で当日も34℃には達していた気温を低下させ、ゆったりと流れる水温24℃の利根川へは酸素が供給され、魚達には活力を与えると考え、暫しは木の陰へ移動して様子を伺おうと歩き始めると、大岩の隙間に浮かんだ白っぽい物体を見付け、空かさず近寄って確認した魚は紛れもなく利根鱒であって息絶えてから凡そ2~3日程度が経過した亡骸は本来の目的を果たせないまま個体が未だに数多く取り残されている証しでもあった。

やがて、暫くして運良く強風は幾分収まり、釣り可能な状態へと回復すると、風に運ばれた雲によって日差しも遮られた影響もあったか、時折、水面を割って出る魚を見掛け始めただけで俄然、釣りへの意欲も増すのは単純な釣り人の性とも言えた矢先・・・、だったかは別にしても、ククン!と言った弱々しい感触の直後に素早く首を振って暴れる振動がロッドから伝わった一方、これは一瞬の出来事に過ぎず何も対処も出来ないまま消え去ったが、やはり大堰の下は魚の種類は勿論の事、その数も上流の深谷地区等に比べれば魚は100倍多いのではないかと思える様になったのは、長らくボウズが続いた修行による成果?の一つにも感じられ、「 釣れない釣りを長く続けては行けない。」 と言う有難いお言葉もある反面、暫く魚の気配も感じられず、またアタリすらも無い釣りが続いた為か、はたまた既に全く釣れない釣りに麻痺してしまったのか、数年前までは感じていた精神的な苦痛や苦悩も吹き飛んでしまった印象すらある。(笑)

とは言え、これは諦めてしまったつもりはなく、今後も最大限の努力は続けるつもりである事から、言わば良い意味での居直りであって、人それぞれの生活環境や住む地域、天性の資質、周囲の人間関係と様々な境遇によっても釣りへの結果には雲泥の差が生じる上、更に釣りが上手と言われる人にも、それなりの理由があって、魚を釣る為には寝る時間を惜しみ常軌を逸した様な生活から多額の資金も投じ、時には詰らない誇りを捨て誰かに教えを請う等と、何かしらの努力や浪費も伴って成り立っている以上、これらに全て欠いた極普通の釣り人が釣れないのは極めて当然の成り行きとして別段、恥でも何でもないのであるが、何もこうした者は永久に釣れない訳ではなく、諦めずに熱心に続けていれば、多少の時間が掛かっても何時の日か絶対に花開くと、自身の過去を振り返っても確信出来た一日は、要するに堰の下は魚が多いだけなのかも知れない。(笑)