一旦は明るみを取り戻し始めていた空には大気の変動に刃向かう黒雲が最後の抵抗を見せていたものの、それも長くは続かず橋梁の下で昼のひと時を過ごす内に雨も直ぐに収まると辺りは再び仄かに淡い空気に覆われて行ったのは先日午後の本流。
次の場所として彼是と考えつつ幾つか見て回るも、何処をどう見ても現状の水量で期待出来る箇所は前回と同じ荒瀬しか思い当たらず、ここに僅かな期待を込めていても、釣りとしては予想通り無駄な足掻きに過ぎなかったらしく全くの無反応で終えていても急深な地形だけは相も変わらずであって冷や冷やさせられる流れではあった。
この後も前回と同じく太い流れが重なる地点に行くと急激な減水によって黒川虫の巣等が多く日干し状態となり、そこには蝿や蚊が沢山群がると言う悪臭まで漂いそうな無残な光景も多く見られる。
そして大人しくなった流れは一層奥へと分け入る事が出来ると流芯を外れた箇所は意外と浅く、また簡易舗装状の砂粒が堆積した平たい地形に少々興醒めさせられ、残りの時間は今後の為にも今一つ杷握出来ていなかった各地を廻ると何処も平坦な流れが多く、水位と時期的にも暗がりでのドライフライ系が良い印象だ。
更に当日は丁度トビケラやカゲロウも多く見掛ける様にもなり、そろそろ日中の釣りには厳しい時期に差し掛かっていると感じてしまったのだが、朝まずめ、夕まずめの僅かな時間帯だけを目当てに遥々やって来るのは面倒で少し間違えると夜釣りになってしまうから困る。(笑)
こうした経緯からなのか、最近流行りの “ イブニング ” とやらは何時しか拡大解釈される様になり、どうやら日没後の夜まで含むらしいのだが、こんな時間帯に釣り上げた鱒が幾ら立派であったとしても懐中電灯で照らして見たのでは本来の美しさも解からない上、どうもピンと来ない。
こうした成果でも自慢し、また目玉が赤く光った鱒の写真を見せられて羨ましく感じるのは恐らく日本人位であって、フライフィッシングの先進国ではこんな事はしないと思う。
どうも近頃は 「 釣る為には手段を選ばない。」、 「 釣れば何でもいい。」 と言った成果主義が蔓延している様な気がするのだが、正直言えば一度位はこんな “ 夜のイブニング? ” を経験したいと思ってしまった自分も情けない。(笑)