崖下の荒瀬は更に下って行く内に、やがては殆ど立ち込む事が不可能な程急激に深くなり、止む無くランニングラインは川原に直接乗せてシュートを繰り返していると頻繁に石を噛んだり、または草に引っ掛かったりと苛々させたが、更に暫く下るとカケアガリの傾斜は再び緩くなっていたのは先日の午後。
依然として太陽は衰えを知らず、その強い日差しを照り付けたままではあっても、ふと時計を見れば時刻は午後5時を迎え、晴れ間さえ広がれば昼間の時間は着実に長くなっていた事を実感しながら崖下を釣り終えると、待望の雨を齎した低気圧が関東上空を通り抜け一時的に冬型の気圧配置となって梅雨時には珍しく山から降りる乾いた風を齎し、26℃には達していた気温でも暑さは全く無く寧ろ心地良い。
しかしながら、時間的には中途半端であって残り一時間程度の釣り場を考えながら車まで戻ると愛想良く近付いて来た鮎釣りのお年寄りに話し掛けられ、暫しの間は鮎の話に付き合わされる羽目になっていると、やはり今年の鮎は昨年よりも釣れていないらしい事、そして遡上鱒に関する有力な情報を聞く事も出来たのは、流石に毎日釣りをして過ごす地元の民であった。(笑)
こうして、既に車で移動している猶予も疾うに無く、ここから上にある野太い二つの強靭な流れが合わさる如何にも怪しき場所を探る事にするも、実はここ、昼食後真っ先に Qチューブ を少々流した場所でありながら釣り始めて直ぐ天候の急転によって忽ち暑くなってしまい服装を整えるついでに、そのまま下に位置する荒瀬へ直行してしまっていたのではあったが、ヘッドはタイプⅡ/タイプⅣに交換済みでもあった為、まぁ丁度都合も良かった。
但、先程とは違い上流から強い風によって、ここ左岸からでは必然的に左のキャストを強制され、これでは風にも流される上、思い描いた位置、形状にヘッドを着水させるのが困難で、久し振りの左・反転式を夕陽へ向け躍起になって度々繰り返している内、何時しか殆ど本格的な練習と化し、昼の長い一日もあっと言う間に過ぎ去ってはいたが、この日得た幾つかの確証は一歩も二歩も前進したと思える実に有意義な一日でもあった。