パラパラと微粒の雨粒が落ちる中、洪水を守る擁壁を横目に砂礫の本流より、一路上流へと向かっていた先日の朝。
既に交通量も少なく、このまま緑に包まれた地域まで移動してしまうかと考えつつも途中に位置する毎度の深瀬が気になり、核心部周辺のみを摘んで流していたが、相変わらずの沈黙で再び移動し、緑地帯の本流へ到着したのは正午少し前になっていた。
先週、ルアー釣りに占拠された深場も今回は人影無く真っ先にここから釣り下ると決め、雪代の最盛期も過ぎ川幅も狭まるここでは前回心地良かったKⅡの13ftを使う。
今では販売も中止され中古市場での人気は薄い様子でも、シューティング・ヘッドを飛ばすには最適でスイッチ・キャストや、こうしたペリーポーク系でもタイミングは掴み易くロッドが勝手にシュートまで繋げてくれる印象はキャストしていて軽快で楽しくあるものの、この後正午を挟み下の深瀬からも魚の反応は一切無く、この辺りの最重要地点でもある俗世間から隔離された地点へと向かう。
ここへ到着したのが午後3時過ぎ、既に本降りとなっている筈だった雨は怪しげに立ち籠める雲を覗かせてはいても幸いながら小康状態で何かが起こりそうな雰囲気を醸し出しはいたものの、暫く釣り下る内に濁りと共に大量の落ち葉や枯れ草が流下し始め、取り付けたフライにはこうしたゴミが頻繁に引っ掛かって始末が悪い。
しかしながら増水は無い所から見ると人為的な現象であるのは明らかで、河川工事でも始まったのか、それとも支流から溜まったゴミでも流したのか。
こうして、長いプールの半分以上を残した時点で止む無く再び移動する事を決断してはいたのだが、ホオジロ一羽の囀りだけが響く妙に静かな午後のひと時だった。