太陽を真上に仰ぐ頃、先日も向かっていたのは、俗世間から隔絶された様な緑地の本流。
その途中、新たに2箇所のプライベート・ビートを探査するも、一つ目は竹薮に行く手を遮られ断念、少し上流にある2箇所目の侵入経路は辛うじて見付け出したまではいいが、子供の水遊びに丁度いい程の遠浅で釣り場としての魅力には欠け、結局は毎度同じ雑木林を潜り抜けた流れにフライを漂わせていた。
しかしながら、ここも山間部に見られる様な、正に涎の滴る最高の流れであっても恐ろしい程一切の反応が無いのではあるが、もしや小さなフライを流せば何かしらは釣れそうと言った虚しき衝動に駆られてしまうのだが、最早これでは目的が一変してしまう印象がある。それでも、次回は実行してしまうかも知れない。(笑)
次に向かったのは、前回この地域を訪れた際、新たに見付けた二つ目の川原。
水辺から恐ろしく急深で川石が小さい一箇所目に対し、二つ目のここは適度なカケガリを形成し底石も大き目であった為、こうした釣りに向いていると思えた。
この辺り、護岸を守る緑地帯は一層の奥行きを増し、そこに植えられた木々も高く本流ではお馴染みの人工建造物は殆ど見えず、また自動車を始めとする一切の雑音も遮断され、まるで深い森林の中を川が流れている様な気分に浸れる事も魅力があって、ここではサーモンフックの#6と#8によるドロッパー仕掛けに交換した。
水温は11℃へと上昇。上の落ち込みから白泡を上げて溢れ出た水は、捻じれるかの如く対岸寄りに沿って流れ、そこへ発生する反転流が渦巻く直ぐ手前は誰がどう見るも必ず何らかの魚が定位しているのは明らかでも、狙い目は狭く、強い流芯付近から外れると一気に浅い。
よって、欲を張って沈め過ぎると根掛りも多く、ウキやオモリは一切使わず、飽く迄もラインだけを使って沈めるフライフィッシングの世界ではタナを即座に変動させる事も出来ず、じっくりと流して釣るのは結構難しい。
案の定、この際も根掛かり気味。暫く下る内には等々底石にシンクティップを噛まれてしまったものの、運良くこの時は軽く引っ張ると直ぐに外れた。
すると、外れたと感じたのが先だったか、或いはその直前だったか、はっきりと覚えていないが、その水面上を2度、3度と水飛沫が上がった。
一瞬、これに驚いた魚が跳ねたのかと思いきや、この根掛りの前後何れかに魚がフライを咥えていた。(笑)
「 待てよ・・・、もしや、この魚が暴れた結果、根掛りが外れたのだろうか・・・。」
「 いや・・・、それとも、外れたフライの動きに反応し、反射的に喰い付いたのか?。」
「 何れにしても、バス釣り風?、或いはリアクション芸的珍現象??。(笑) 」
こんな事を考えながらランニングラインの処理を図っていると相変わらず派手に飛び跳ね始めた事から、この相手は野生的な虹鱒だと解かり、小柄ながらもプリプリとした筋肉質の姿態はカメラを向ける以前の段階で残念ながら逃げられてしまったていたが、魅力的な流れの先はまだ長く、同程度の魚であれば後もう一尾位は釣れそうな雰囲気を醸し出していた。
ところが、結局この後はコツリと言った一切のアタリすらも無いから甘くは無い。夕暮れも羽化が活発化したカゲロウ類は下流から吹く強風は収まる気配なく吹き飛ばされている有り様で日没30分前には、♪良い子の皆と帰りましょう♪。
人気のイブニング・ライズ等と言った鱒釣り、これも長らく続けていながら相変わらず縁が無いのは一体何故??。(笑!)