大石が転がり足元の安定しない先日午後の本流。
近年の本流と言えば何処へ行っても、まるで寺院の境内でも歩くかの如く小石の敷き詰められた平たい川床になってしまっているが、この場所に限っては一歩足を進めるのが恐ろしい程の嘗て多くの本流が持った荒々しい本来の姿を保っていた。
こうなるとキャストも難しくなり、日頃から足場の安定する川原で右のキャストでは右足が前であるとか、左右の足を使い前後の重心移動を駆使してシュートする等と言った教科書のお約束事も殆ど通用せず、深いウェーディングから太い流れにも耐え、時に一方の片足だけは石の上に乗せ、又ある時には片足のみを深みに突っ込んだままシュートを打つと言った一歩下る度に刻々と変化する状況に対応しなければならない極めて実践的なキャスティング技術が要求されるのはゴルフで言えば “ トーナメント・コース ” と “ 単なる打ちっ放し練習場 ” 程の違いがあり、実践こそが最大のキャスティング練習でもあったとも実感していたのはマスターズへ初挑戦した石川 遼君も同じだった!?。
しかしながら、ただでさえ魚と巡り合える機会も少ない事からミス・キャストも極力避けたいと考えると冒険が出来ず、つい無難な方法を繰り返してしまうのが実践と練習を兼ねてしまう最大の難点で気が付くと長らく練習したフォームとは異なる無難なキャストをしている自分にも気が付くのだが、こうした事までをも考えさせられてしまう事自体、たかが魚釣りとしては実に “ 恐るべき世界 ” であって、更に一応のキャストするが故にルアー釣りの要素も兼ね備えながらも取り付けたリールで巻き取る事も無い事から半分は 手釣り と言え、ここから漁師的ロープ捌きが加わる事から釣りの最中での確認点や、操作事項等も実に様々と言うよりは多過ぎる位だ。(笑)
キャスティングの開始ではタイプ4+タイプ8の沈み込んだヘッドを引き抜き上流側に位置する早い流れに落とす位置に注意し、この際の立ち込み度合いを考慮しながらヘッドを畳んで送り出す度合も変え、スィープからは課題にして理想とする下側、上側それぞれに腕の動きに留意してシュート、ここでキャストに納得が出来ないと悪い箇所、反省点を考えつつもリーダー先のターン、ヘッドの着水形状等を確認してロッドを操り、悪い足元に気を配りながら数歩下り、ライン・テンションを感じながら何かの反応はないかと意識を集中し、スイングを終えた後にはランニングラインを手繰る回数も数え、これと同じく流れに揉みくちゃにされ絡み付いていないかと常に目視しつつ根掛り回避のロッド操作し、再び次のキャストへ向けて準備すると言った工程を毎回繰り返す釣りは他に類を見ないのが 「 恐ろしい釣り 」 と感じる点であると同時に、こうした究極的に難しく面倒な釣りだからこそ楽しくもあるのは “ 世にも不思議な世界 ” であってスペイ、オーバーヘッド、スカジットやアンダーハンド・キャストを問わず、こうした 釣り が好きな人々は皆、何処かしら “ 変 ” であって共通した仲間、同類でもある。
そろそろ、何か特定のキャスト方法に対しての悪い表現や一定の優劣を決め付けるのは、もう止めにしようではないか。
フライフィッシングのキャスティングは何を取り上げても、それぞれは突き詰めて行くと実に奥が深いのは誰しもが認識し、それぞれの考え、釣り場の違い、環境や好みでも分かれる。
よって、 「 どれそれは簡単で安易な方法で、こちらの方が優れ技術力も高い。」 等々の論議は何ら意味を持たない。
と、何やら偉そうにも、話まで大きく逸脱したまま・・・、お し ま い。(笑)