先日の本流、友人からの吉報によって上流へ戻る事になった。
この時一緒に居た、はる氏の行動も迅速だった。普段のおっとりとした温厚な性格からは想像も付かない歩調であっという間に視界より立ち去って消えていた。(笑)
引き摺りだしたままになっていたラインを回収し、足場の悪い水際を注意しつつ漸く現場に辿り着くと、その場では既に撮影会が始まっており、その中心には、薄っすらと桜色を纏った銀色に輝く魚体が横たわっている。
これは、約一年振りの再会でもあった。
顔付きは獰猛にして精悍な一面を持ちながら、ほぼ銀色の飾り気の無い魚体は慎ましく、そして何故か悲しげな目付きは日本人として何らかの情緒感を覚え、誰が見ても何度見ても美しく、ここから溜息が零れると何時まで眺めていたいという衝動にも駆られる。
又、その昔、殿様に献上される程の美味でもある高級食材といった一面も兼ね備えつつも、一切の無駄を省いた究極の流線型を持った躯体は一度針掛かりすると暴威的に暴れ回る。
これは魚類の完成形にして何処を取り挙げても非の打ち所も無い正に淡水魚としての完全体。
欧米諸国より伝来されたルアーフィッシングやフライフィッシング。やはり諸外国からやって来た魚達が兎角持て囃されたりするものの、古代より日本にも生息するこの魚だけを追い続ける釣り人も多いだろう。
この後、更にもう一人のルアー釣り師が一尾釣り上げると現代科学の連絡網が駆使され、人が人を呼び更なる大混雑となってしまい、餌釣り師が銀毛化した虹鱒を加えたのみで、そのまま夕刻をひっそりと迎えた。
だが、この程度の混雑はまだ序の口だった。
友人の報告によると平日となった今も尚、既に午前4時頃の段階から釣欲の亡者と化した釣人達が我先にと僅か10m程度の間隔で立ち並んでいるといった状況になってしまっていると聞く。
10m間隔、釣堀ならまだしも、こんな狭い領域、フライフィッシングという方法、しかも流れを伴う河川で一体どうやって釣りをすればいいのか。幾ら実績のある場所とは言え、そこまでして尚もこの場で釣りがしたいのか。
これは偏見かも知れないが、ルアーという小さな単体であればキャストして着水と同時に水へと馴染む。この後、高性能なリールによってラインを巻き取る事で何とか釣りにはなるだろう。
しかし、フライの世界ではそうは行かない。例えシングルハンド・ロッドに換え、ラインのヘッドだけでも7~8mはあり、その先には数メートルのリーダー経てやっとフライが取り付けれ、更にこれら全てを流水で馴染ませフライラインの向きを整えた後直ぐにリトーリーブを開始したとしても僅か10mではとても釣りにならない。これは流水でのフライフィッシングとしては成立しない距離だ。
折角友人が釣り上げた実に喜ばしい出来事から一転、今に至っては絶望の淵に叩き落された感じさえしている。
と、最後は暗い内容となってしまいましたが、
youさん 改めておめでとう御座いました。
この時の詳細な模様は近日中?に掲載されるでしょう。(笑)