5月の最終日の午前五時、いつもの本流へ到着した。
真っ先に気が付いたのは前日夕方からの雨による増水だが、どうやら予想以上の雨量だったらしく、釣り人も4人程しか居ない。どうも嫌な予感がしていた。
対岸の河原に降りて行くと友人のyou氏が早速近づいて来るなり、こう言った。
「 これは、釣りにならない。対岸に渡った方がいいかも知れない。」
これには一先ず同感だった。ここ左岸では、水は比較的澄んでいるがそれでも濁りが酷いらしい。それなら流芯から近く実績のある対岸である左岸の方がまだいいだろうという訳だ。
早速対岸へ向った。いつもは車でひしめき合っている広場もこの日は車も二台しか無く、丁度一人のルアー釣り師が引き上げて帰る支度を始めている。やはり壊滅的な状況らしい。
取り敢えずは車を降り、川をじっくりと観察するが、どうも水位としては大した高くは無い。
だが、ずっと半年以上も続いた渇水気味の低水位が日常化してしまっていたので、この程度の増水でも濁りを始め、枯れ草やゴミ等の流下物が多くなってしまったのだと思われた。
さて、困った。折角来たので、諦め悪くも一応は釣りをしないと気が治まらない。となれば、あの辺りの方がまだ水がいいかも知れない。そんな僅かな期待を込めた崖下も状況は全く同じで、急深でガレ場の水底は濁流によって足元が全く見えず大変危険だ。冷や冷やしながら後方の空間を稼ぐ場所まで辿り着いてキャストを開始したが、一投する度にラインに枯れ草が纏わり付いて殆ど釣りにならず、それでも完全に諦める決心が付くまでには30~40分程キャストを続けたのだろう。
前日の天気予報よりは天候が回復するのか空が少し明るくなって来るとたっぷりと湿気を含んだ空気によって蒸して、車を停車地点まで僅かな距離を歩くだけで汗ばんで来ると更に鬱憤が溜まってしまう。
それにしても5月も最後、釣期は6月位迄と言われているので残るチャンスも4~5回しか無い。これには憤懣やる方がない気分だが、これは仕方が無い。
しかし、時刻はまだ午前6時。ここが駄目なら、いっそ何処か違う場所で釣りをしようと一大決心の末、再度車を走らせた。
そして向った先は ・ ・ ・ 。
つづく。