朝は少し冷え込んだものの、やはりこの時期本来の寒さと比較すると大したものではない。朝方に川の上流から吹いていた冷たい風も日に日に力強さを増していく日差しによって何時しか掻き消されると、そこには既に春の気配すらも感じられる。
あの日の天気予報では午後から曇りとなっていたので、朝の日差しも今の内とすっかり思い込んで冬に一歩逆戻りを覚悟していたが、幸いにもその予報は外れほぼ一日中暖かな日差しに恵まれた。
そこに集まった3人、皆それぞれにキャスティングの練習を繰り返し、乾燥した河原にロッドとラインが発する風切り音が響いている。
注文したダブルハンドロッドを待ち切れない様子の
友人 は、シングハンドロッドを使ってスペイキャストの練習をしている。
先週にシングルハンドロッドからウェイトフォワードラインをフルキャストさせる事に成功した
友人 は、その時の感覚を確実なものとするのに躍起になっている。
こうした天気に恵まれると時に気まぐれな風は、川の上流から吹いたり、はたまた下流から吹いたりとその3人を翻弄するが、結局は吹き荒れる事もなく3人を安堵させる。
それにしても皆練習熱心というべきか、どうもキャスティング自体が好きらしく、良くも飽きずに各自の練習課題を持ちつつロッドを降り続けているが、それぞれが志すものは一つ。