雲一つ見当たらない穏やかな晴天下、先日の修行はまたも右岸へ向った。河川敷に差し掛かるといつしか沢山の
ツグミが渡って来ている。そろそろ冬の到来も間近となったのだ。
やがて緑のトンネルを潜り抜けると口笛の様な
イカルの囀りが聞こえる。人気の無いこの辺りは彼らにとっても楽園なのかも知れない。
但し、天気が良過ぎても困る事がある。それはVTRの撮影だ。太陽光線が強いと水面が反射するのは無論、ここ右岸からでは対岸の枯れ草に反射し、フライラインの視認性が悪くなる。又、左岸からでは逆光線となりぎらついてしまう。よって映像としては曇天の方が都合がいい。
しかしながら、これら撮影の件を抜きにすれば天気がいいのには越した事は無い。暑くも無いし寒くも無い、実に清々しい陽気だ。
そして今回も左のキャスト、これが課題となる。先週の夕暮れ近くになって漸く分った下手によって “ 押し込む ” 感覚を身に付け、これを検証したかった。
川の水位は更に下がっている。先週の場所よりも深い、やや下流に陣取る事にした。ほんの少し下っただけで川底の石が大きくなり、見下ろしただけで水生昆虫の巣が点在しているのが分る。ただ魚の気配が無いのが残念だが、その方が雑念に惑わされず練習に適しているのだろう。
先ずは14ftに10mのスカンジナビアンSTヘッドで下の右手に意識を集中してシュートを始める。 「 よし、いい感じになっている。」 右で投げるような鋭いループは形成されはしないものの、飛距離は延びている。更に左腕の疲労感も軽減されている。これなら疲れないだろう。後はこのままの練習を続け、ラインの位置を考慮すればいい。