2月に突入し、暦の上では春を迎えても沖縄以外の各観測地点では全てが氷点下を記録した先日も一応は丸一日練習に費やした反面、実際あまりの寒さによって今回も大した練習にはならず、良く聞く風速1mで体感気温は1度低下するなる定説は、ある程度の実気温に達している時に限られ、5℃程度の気温では1mの些細な風が2~3℃は寒く感じる。(笑)
と言う訳で、先日は夏以来に12ft半のセミ・ダブルハンドを持ち出すと、抜上式と反転式に関しては予想以上に整っていたが、ジャンプ・ロールに至っては左右共に乱れ放題で暫しの練習を要すると思えたが、この原因はオーバーハング部分のテンション維持に尽き、これらはヘラブナ釣りにも通じる部分があると感じた方法がチョーチンと呼ばれる釣りにある。
釣りは鮒に始まり、鮒に終わる。以上は釣り人であれば誰も聞く諺の一種と言え、この発祥とも言えるヘラブナ釣りにも実に様々な方法が存在し、この中には延べ竿から仕掛けを振り込むだけの一見した限り実に容易く見える動作が最も難しく、これこそがチョーチン釣りで、この呼び名は竿と同等の深いタナを釣る為に細長いヘラ浮きが竿の穂先近くである様子を指し、ジャミが集まる表層を回避させヘラブナを寄せるタナを凝縮させるべく容易に溶けてしまう練り餌をヘラ浮きが立つ箇所へ最短距離に落とす方法をフライの世界へと置き換えるならば、丁度、ダブル・フォウルやスイッチ・キャストに相当する程の意外の高度な技術を求められる反面、これを21尺等の長竿で捌く颯爽とした独特の様子は、まるで 佐々木小次郎の燕返し 風で自身が最も好んだヘラブナ釣りの手法でもあった。(笑)
そして、これが高等技術たる所以は、ヘラ浮きだけが穂先と著しく接近した位置関係から、振り子の作用も2か所3か所に大きく分散した非常に不安定な状態でもあり、仕掛けを水中へ振り込む際には餌、オモリと着水し、この時点でヘラ浮きと穂先間の張力も急激に低下すると細く長い浮きは暴れ、この時、仮に浮きの位置が道糸の中間程であれば道糸と絡む程度ですむが、竿の穂先と数十センチしか離れていない場合では、穂先をも巻き込んでは浮きと共に道糸までもが複雑に絡み付いてしまい最早、到底、釣り所ではないばかりか、最悪には繊細な作りであるヘラ浮きまでも壊してしまうと言った事態をも招く点にある事から、練り餌とオモリ間のハリスを絡ませず着水させた後は、僅かしか離れていない浮きと穂先部分のテンションを一定以上に維持させたまま餌の着水地点へと落とす必要がある。
以上、チョーチン釣りの説明で既に長くなってしまったが、要するにジャンプ・ロール等では離れた箇所にあるフライラインの先端をスィープさせてアンカーを打つ長い工程等によって、ラインの先端が着水した際にはオーバーハング部分に対し弛みが生じ、この状態からシュートすると、弛んだオーバーハング部分が一気に伸びた後ではシューティング・ヘッドの後端から跳ね返される力と共にロッドも振り出している状況となって飛行するシューティング・ヘッドの姿勢も乱してしまう一面は、当然ながら長いオーバーハング程、顕著に現る。