昨日の関東は伊豆半島の沖合を通過した南岸低気圧によって平野部でも広い範囲で再び雪を降らせたが、今回は積もる程の雪でもなく、寧ろ乾燥化した大地に加え、渇水が続く河川の状況を考えるとダムによって雪代が封印される関東の本流釣り師としては不満が残る所だろう。
さて、前回にオーバーハングについて触れていたが、このオーバーハングが織り成す不可思議な現象には他にも様々あり、今回のネタとしてはスィープ時にヘッドが反り返ってしまう作用を挙げる事とした。
通常、ジャンプ・ロールのキャストからスィープした際、ラインは船底の先端の様な形状で飛行し、これは着水時に理想的なDループを形成させる第一条件でもあり、この時にラインの形状が逆向きに反り返りってしまうと、ブラッディ・Lを起こす等と何かと都合が悪く、これはフルラインよりもシューティング・ヘッドを使った場合と同時にオーバーハングが長い程、顕著であるのは勿論、空を舞いながら移動する区間が長いスィープが頻繁に起こる為、ペリーポーク系の抜上式では問題がなかったとしても、ジャンプ・ロールの要素を持つ反転式の成否へも多大に左右し、これも長らくは謎だったが、このメカニズムが解った今でも、物理的な理論等は全く説明が付かない。(笑)
ただ、ジャンプ・ロールを例にすると正しい操作さえ行えば発生せず、要は世間一般で良く言われる “ リフトからスィープが早い ” に尽き、スィープの初期段階から力を与えてしまうと、糸に結ばれた凧が強い風を受けて一気に急浮上するかの如く、長いオーバーハングに直結されたヘッドのリア側から全体が逆に反り返ってしまうが、シングルハンド・ロッドの場合では、スィープをゆっくりと丁寧に行っても、これを発生させてしまう操作が フォール にあり、スィープ時にフォールを加えるタイミングが早い場合でも、この逆反り現象が起こる。
と言う前振りを終ると、実はシングルハンド・ロッドによる左のバックハンド・スイッチ・キャストではスィープ時のフォールが早く、先日はこれを正す練習も行なっており、一日では修正する迄には至らなかったのは毎度の事ではあっても、こうした正しいとされるタイミングが実際、常に有益なのだろうかと疑問に感じる点もあり、そこにはオーバーハングが長いと言う特殊性が係わっているのかも知れず、確かにスィープ時のフォールを腕が上昇する辺りから開始させるとDループは本来の丸みを帯びた形状となり、この状態は背後のスペースも軽減出来、ヘッドと水面との干渉も少ない訳だが、加速するタイミングも遅れる分、Dループの一部となる長いオーバーハング部分に対しては張力が不足して弛みが大きく生じ、当然ここからシュートとしてもランニングラインのテンションが不足している分、エネルギーはロスしている印象も受ける。
これらは、昨今のスペイ・キャスト遠投競技等で用いられる方法にも通じる、或いは共通し、ここで言われる “ Vループ ” とは恐らくスィープを意図的に早めた際に形成されるDループを指し、以前に見学したスペイ・イベントでのデモンストレーション・キャストもスィープはオーバーヘッド・キャストのバック・キャスト的で、ネス・スタイルとは・・・ ” ラインの先端を水面に付けたオーバーヘッド・キャスト ” と嘗て表現した通りに、Dループの上半分を極力長い直線状に張ったバック・キャストの状態からシュートしているとの考えが正しいとすれば、シングルハンド・ロッドでもスィープ時のフォールが早いままでも強ち間違いとは断言出来ない事になる。