朝、風速5m程度だった上流から風でもヘビーシンクのラインを風に逆らいつつ引き抜いてはスィープすると言った作業を繰り返しているだけで腕が疲れてしまい一旦はログネスを諦め午後からはKⅡの14ftに持ち替えていたものの、真冬の様に山から吹き降ろし始めた風は更に強まり、やがては7mにまで達するとフェーン現象が起こり気温も急上昇。
ここから無理矢理キャストしても殆ど風に吹き流されてラインが勝手に飛んでいる格好で全く訳が解らず、勿論練習にもならない状況では例え久し振りの晴天下で大気も澄み切り遠くの山々までが鮮明に浮かび上がる爽快感はあっても釣りとなると最早楽しくも何とも無く、微風ならば寧ろ雨でも良いと何とも身勝手な思考が頭を過ぎる。(笑)
因みに、こうした風速等は後に便利なインターネットから確認した当日の気象データに基づき、これらを毎回欠かさず繰り返している内に大凡の見当が付き始めるも、当然これらは各測候所が数分単位で計測した平均的な観測記録でしかなく、大河川である肥沃の本流では瞬間的、或いは平均値でも更に強い風が吹いていた可能性も高く現地の実測値ではない。
こうして、左でキャストするには左岸側へ渡る必要があると、この日は昨年に目星を付けていた新たな場所へ向っていた。
一箇所目は平坦な地形で鱒が定位するには些かの疑問が残ったものの、流芯が対岸に位置する遠浅の流れを奥へ奥へと突き進んで行くと、やがて川幅の半分から3分の1程辺りからは断層帯の如く急激に深み増したまま下流まで延々と続き、実に怪しげ、かつ魅力的な雰囲気を醸し出し今後も期待を抱きつつ足を踏み入れる箇所が一つ増えた。
二箇所目の川底も同様の地形で蛇行する流れの内側からの進入を受け入れる越後の本流中流域を彷彿とさせるのだが、ここの流程は短く、更に当日の直ぐ下流に位置した核心部にはブッ込み釣りのお年寄りが二つの仕掛けを放置したまま陣取っており短時間での移動を余儀なくされる。
ここで再びの予断話。通常、関東のブッ込み釣りと言えば大方は鯉族がお目当てでも、一説と言うか人から聞いた話によると当該流域では鱒狙いだった・・・とは場所を考えると納得が行き、一番釣れる理想的な餌はフライの世界で言うブラック・リーチのチョン掛けだが、入手が困難である事から大半は定番となるドバミミズ。
そして、時折見掛ける妙な石積みは、一尾釣り上げた都度に彼らが組み上げている・・・等の噂も一種の都市伝説?。