日本列島の太平洋沖で以前足踏みを続ける低気圧。これに伴い、ここ関東地方でも曇りや雨の続く肌寒い日々が続く先日、暫く振りに 砂礫の本流 へと向いていた。
どんよりとした午前6時、こんな遅い時間では例年ならば釣り人がびっしりと立ち並び入り込む隙間もない右岸には、噂の通り4~5人程度しか見られず、これまで最も多くの時間を過ごして来たこの場所で今年初めてフライを流して見る事に決めていた。
それにしても、更に浅くなってしまった。
広大な平野部各地の田畑には農業用水として潤されると、ここでは既に減水気味、細い筋状の流れが中州と共に幾つも枝分れする無残な姿が一層露骨になり、何処か “ 本流 ” と言った雰囲気では無く、ダムへの “ 河口 ” を連想させる。
川辺へ続く斜面の葦原も何故か数年前から定期的に伐採される様になり、釣り人が歩くには大助かりではあっても、これによってオオヨシキリの声も遠ざかり、彼らの貴重な営巣地をも奪ってしまっているのだが、こんな余計な事まで考える釣り人は一体何人居るだろう。
ふと、川へ向かっていた足元に違和感を覚えたかと思えば、回収するのも厄介極まりない細いナイロン糸が纏わり付き、上の不法投棄地点まで延々と続いて再び斜面を登り始める。
やれやれ、釣り人が多く集まる場所への免疫が出来ていないと悪い箇所ばかりに目が移り、漸く空いている上の落ち込みから浸って行くと殊更浅い砂礫の川床に減滅していると下流に見えたルアー釣りが一人、また一人と引き上げて行き、この辺りの核心部に入る事が出来たが、タイプⅠではあっても12番のテイップでは時折根掛かり起こす程浅くなっていたのは全く知らず道具、仕掛けの判断を誤ったと気付き、その暫く後には迷いが生じていた。
こんな詰まらない場所はいっそ移動するか、それともヘッドでも交換して後少し粘るか・・・。
時計を見ると時刻は午前8時半。ここで朝の通勤ラッシュも過ぎたと判断し、川を一気に遡る事にしていた。